この漫画読んでみて「はたらかないふたり」

この漫画読んでみて

今回おすすめするのは「はたらかないふたり」

吉田覚先生が書いた、2013年から新潮社のWEBコミックサイト『くらげバンチ』にて連載中の作品です。

インパクトのあるタイトルですが、ほのぼのかつ深イイこの漫画を紹介していこうと思います。

  1. 一言で作品を紹介
  2. 作品の魅力
  3. 筆者の感想

一言で作品を紹介

働かない兄妹の日常を通して、現代社会の労働観や生き方の多様性を温かく、そしてユーモアたっぷりに描いたスローライフコメディ。

作品の魅力

「はたらかないふたり」の最大の魅力は、一見ネガティブに思われがちな「働かない」という選択を肯定的に描き出している点です。

はたらかない…それって社会不適合者だ!あってはいけない!そんなイメージをもっていませんか?

本作は主人公の石井守と春子という兄妹を中心に、彼らを取り巻く家族や友人たちとの交流を通じて、「働く」ことの意味や、人生の多様な生き方について考えさせられます。

兄・守は、一見すると典型的なニートに見えますが、実は多才な能力の持ち主です。
コミュニケーション能力や手先の器用さなど、様々なスキルに長けており、妹の春子からは「ニートの中でもエリートの『エニート』」と呼ばれる程。
彼の日常生活を通して、社会的な「成功」の定義や、個人の価値が必ずしも仕事や収入だけでは測れない事を感じさせられます。

一方、妹の春子は対人恐怖症で、外の世界とのコミュニケーションを苦手としています。
そのオドオドとした態度に、初めは少し苛立ちを覚えるかもしれません。


しかし、作品が進むにつれて、彼女が少しずつ成長し、新しい人間関係を築いていく様子が丁寧に描かれています。
優しくて思いやりのある春子。気づけば彼女が好きになっているはず。

作品の魅力はキャラクターだけにとどまりません。
日常の何気ないやりとりや出来事が、時にはコミカルに、時には感動的に描かれていて飽きさせません。
特に、守と春子の兄妹愛、彼らを見守る両親の姿、そして周囲の友人たちとの交流は、温かみのある人間関係を描き出しています。

さらに、この作品は「働かない」ことを単純に美化するのではなく、その選択に伴う葛藤や社会からの圧力なども描いています。
両親、特に母親は働かない二人を心配し、時に厳しく接する場面もあります。
これらの要素が、物語にリアリティを与え、単なる理想論に終わらない深みを生み出しています。だからこそ良いのです。

また、脇を固める個性豊かなキャラクターたちも、この作品の大きな魅力です。
守の友人である丸山や遠藤、隣人の倉木さん、春子の友人のユキやあかねなど、それぞれが独自の背景と個性を持ち、物語に彩りを添えています。

吉田覚先生の絵柄も、この作品の雰囲気にぴったりとマッチしています。
キャラクターの表情やしぐさが生き生きと描かれ、コミカルなシーンではその魅力が存分に発揮されています。

筆者の感想

働きたくない!!
皆さん一度は(と言わず何万回でも)思った事があるでしょう。
でも同時に、働かなければいけない…という強迫観念もあるはず。

だって、働かなければ生きていけない。働かなければ世間で後ろ指を指される。働かなければ幸せな人生は歩めない…。

この作品を読んで、それが社会から植え付けられていた固定観念だと気づきました。
勿論働かないと生きていけません。でも、手段は沢山ある。
会社にしがみついている必要はどこにもなかったんです。

そう思うと気分がスッと楽になりました。
作者さんが自分の漫画の読者はなぜか皆働かなくなるとおっしゃっていましたが、こういった一面に気づいたのが大きいのでしょう。

初めはただの興味で読んでいたのに、ただのギャグマンガだと思っていたのに、気づけば引き込まれています。

声を出して笑ってしまうし、かなり本気で泣いてしまう。
頑張っているあなたにこそ読んでほしい一冊です。

きっと、あなたの「働く」ことへの見方や、人生の価値観に新しい視点を与えてくれるはずです。
これを機会に一度読んでみては?

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